独書は毒っしょ

読書の記録

独書日記35〜『フェミニスト現象学入門』稲原美苗 他3人編〜

おはようございます、うどくです。

授業もあと1週間受けたら冬休みになり、1月が終わると1年生として受ける授業も終わりになります。

あっというまだったなーと早くも思っています。

今年は3月の合格までは人生で1、2を争うストレスフルな生活でしたが、それ以降はバランスをとるかのようにストレスフリーな生活を送ることになりましたね。

 

授業もほぼ全てオンラインで、言ってしまえばyoutubeで勉強系の動画を見てるのとそんなに変わんないなーなんて思っていました。

(zoomのチャット機能でコメント求められるのとかまさにって感じです) 

 

 

 

 

今回読んだ本はフェミニスト現象学入門』です。

授業で差別をテーマにしているものがありまして、その中で勧められていたので気になって手にとってみました。

近年になってフェミニズムというものが広く知られるようになってきましたが、一部の過激な人を取り上げて揶揄するような風潮が好きではないと思っていたのもあります。

(そもそも過激化どうかを判断しているのは、古い価値観による基準かもしれませんが、、

私自身は男性ということもあり、このような議論な最中では肩身が狭いというか、自分の中にある偏りに気づくことが多くしんどいと感じることが多いです。

だからこそ今向き合わなければならないのかなと思って今回読みました。

 

 

以下本の内容の紹介と感想パートです。

 

 

まずフェミニスト現象学とは、現象学の方法論を用いて主流の現象学が見落としてきた考察の中心に据えるものでフェミニズム現象学のハイブリッドのような学問分野です。

またその扱うものも女性に対する差別にとどまらず、さまざまな差別を生む規範や制度の批判、解体をも含み、広い射程を持っています。

現象学的方法論とは、生きられた経験を当事者の視点から分析するという特徴をここでは言います。

つまり「マイノリティ」と呼ばれる人々の経験について当事者の視点から探究する学問であるのです。

この本では、女性や障がいを持つ人、LGBT、外国人などのさまざまな身体体験が1人の人間の視点から記述され考察が加えられています。

 体毛とか男性的な特徴はなくなってほしいとは感じます。いかにも男らしい部分には整理的嫌悪感を感じます。女性の身体がほしいとは思わないんですが、よく夢を見るんです。自分の胸に乳房がついている夢なんです。それも欲しいとは思いませんが、あるはずだという感じです。

・・・

事故で手足を失った人が、すでにないにあたかも手足がそこにあるような痛みを感じるっていいますよね。僕は経験はないんですが、そんな感じなのかなと想像することがあります。

これはトランスジェンダーの当事者が自分の身体経験を説明したものですが、三人称視点の研究ではわからない生の感覚が伝わってきてきます。

こういうのが、フェミニスト現象学の魅力なんだと思いました。

また、自分の潜在的な偏ったものの見方を目の当たりにすることも多くありました。

特に印象的だったのは、前戯という言葉に対する指摘です。

実際、男性たちはしばしば、男性器の挿入と射精だけをセックスの目的とみなす。このセックス観においては、他の性的な触れ合いは、すべて挿入と射精のためのための「前戯」にすぎない。

こう考えているかどうかに関わらず、言葉の裏にある思想は怖いなーと思いました。

他にも外見やセクハラなど、差別から派生する問題についても触れられていて興味深かったです。

最近で言うと、作家の川上未映子さんが

という ツイートをしていました。

私はちょうどこの本を読んでいたこともあり、こういうことをあくまで当たり前のこととして認識できる自分はマジョリティに属する人間なんだなーなんて思い知らされたということがあります。

ただリプ欄には

「人生つまんなそうw」

「嫌ならやるな」

「息子がかわいそう」

やもっとひどい内容のものまで様々な反応がありました。

皆さんはどう思いますか?

そこまで気にしなくても、、という気持ちもわからなくはないですが、だからと言ってそんな言葉を浴びせてまで「いやーん」を守らなければならないかなーと思います。

日本社会が男性中心的であるのは言うまでもないことで、このように1人の女性の訴えを寄ってたかって非難するさまは、男性中心的とも受け取ることもできます。

「これまでこうだった」という言葉も多くありましたが、以前はよりこの傾向が強かったのは事実です。

差別をなくす機運が高まっている今、このようなセンシティブな話題に自分が何を感じるかを丁寧に観察すると、思いも寄らない自分の考えが見えてくるかもしれません。

そんな中で大事なのは、相手を対象として捉えるのではなく、当事者の立場に立つことなのでしょう。

 

この本は現象学とありますが、専門的な部分はわかりやすく説明されていたので誰でも読みやすいものであったと思います。

(私は前回読んだ『現象学入門』ではフッサールが中心でいたが、この本はメルロ・ポンティの議論がよく出てきたので読まなくてもという感じでした)

気になった人はぜひ手にとってみて下さい。

 

 

 

今回の感想はこんな感じです。

私は以前、このようなジェンダーに関する議論が流行っていく中で、生きる上でのロールモデルが失くなうなーと不安に感じていました。というのも、「あなたらしく」より「こうあるべき」と言われた方が楽だと思っていた部分があるからです。

ただ、それはあくまで自分がマジョリティに属していたからこそ思えていたことなんだなと今回実感しました。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます😊

次回も楽しみにしていてください。