独書日記28〜最近読んだ本〜
おはようございます、うどくです。
日が燦々と照っている中カーテンを閉めて昼まで寝てたり、本読んだりするのは最高に夏を無駄にしているという感じで休みを満喫しています。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
最近は休みということもあって、本をよく読むのでまとめて感想を書いていこうかと思ったとことであります。長期休み中はこの形式をとっていきます。(多分)
目次
『破局』遠野遥
本作は最新の芥川賞受賞作となっています。
(芥川賞が純文学の新人に贈られるものだと知っていましたか?私は今回知りました
まずはあらすじです。
主人公の陽介は毎日筋トレを欠かさず、公務員試験に向けて勉強に努める大学生。彼は母校の高校にラグビー部のコーチでもある。そんな彼が二人の女性の間で揺れ動くことになるが、最後に待ち受けるのは、、、
主人公の陽介は慶應boyで素敵な彼女もいたりと、所謂勝ち組大学生という感じなのですが、どこか変なところが気にかかるのです。
かわりに服の上から大胸筋を触らせてやると、灯は嬉しそうに笑い、それを見た私も嬉しかったか?
悲しむ理由がなかった。悲しむ理由がないと言うことはつまり、悲しくなどないということだ。
このように自分の感情がわかってないの?と思うような表現がたくさんあるのです。
他にも、「・・・だから、〜する」「・・・だから、〜しない」という行動の決め方をする部分が何度も見られました。規律に基づいて行動すること が徹底されている感じがありました。
つまりは中身が空っぽということなのでしょうか。
外面は充実しているのに内面がスカスカ、このアンバランスさがもたらすものこそ破局なのです。(なのだと思いました)
満足はしてるけど、なんか違うなあという日々が表現されてるような小説でした。
また気味の悪さが淡々とした文体に乗せられているというのも良かったし読みやすかった。
大学生にこそ刺さりそうな作品という印象でした。
『インストール』綿矢りさ
あらすじ
学校生活からの脱落を決断した高校生の朝子は、ある日小学生かずよしと出会う。二人はコンピューターを使って大稼ぎすることを企てる。
高校生のころの青臭い感じが好みの一冊で是非とも高校時代に読みたかった。
ちょっと変人ぶるけれど、何者にもなることのできない朝子が感じる焦燥感は瑞々しい高校生らしい内面の動きでまだ共感できるものでした。
私は大人になってからあるいはもっと近い将来に、いまのこの時間を無駄遣いだったと悔やむだろうか。
こういったことを一度は思ったことあるのではないでしょうか。
この他にも高校生特有の気怠い感じや斜に構えたさまも自分に重なる部分が多くあります。
その一方で小学生のかずよしは普通じゃないくらい大人びているのが、朝子と対比されているのも高校という閉鎖的な空間にはなかった対比の対象になっていて良かったです。
純文学っぽい作品でしたが、非常に読みやすくて良かったです。
『蹴りたい背中』も是非近いうちに読みたいと思いました。
『medium』相沢沙呼
本作はこのミスと本ミスのダブル受賞や本屋大賞にもノミネートされたりと話題の一昨だったということで気になっていた一冊です。
あらすじ
推理作家の香月史郎はあるきっかけから霊媒師、城塚翡翠と出会い彼女の力を借りながら様々な事件を解決していく。そんな中巷では連続殺人事件が起きていて、その魔の手が翡翠にも、、、
霊現象を手がかりに事件を解決していくミステリーとしては変化球ですが、冷媒能力が制限付きであること、香月が霊現象を合理的な論理に昇華させる部分があるのでそこまで突飛な感じがしないのも良かったです。
この作風はいい意味でラノベっぽいという感じで非常に読みやすい印象でした。
そして翡翠ちゃんが何より可愛い!!
初版の帯には「全てが伏線」とありましたが、まさにその通りで何がなんでも最後まで読み通して欲しい一冊です。
『オブジェクタム』高山羽根子
あらすじ
大人になった主人公が小学生の頃を回想する。壁新聞、遊園地などなどいろんな事件が思い出されるが、それらはぼんやりとしたもので謎が多く起こされているのであった。
読後感としては、夢を思い出そうとするけど全体にモヤがかかってしまっているような感じでした。
祖父のセリフの
関係の内容な検討はずれな言葉でさえ、その集まったものが人間の脳みそみたいに精神とか、意志、倫理なんかを持っているように見える場合がある。
が全体のテーマなのかなと思っています。
昔を思い出したりしたときに何気ないことばかり思い出されたりしますが、それらにも何か意味があるように思ってしまう。それを表した作品なのかなと。
正直よくわかんない話でしたが、そのわかんなさも魅力なのかなと思わされた作品でした。
表題作の他にも『太陽の側の島』『 L.H.C.O.O.Q.』の2作が含まれていました。
『太陽の側の島』は3作品の中でも特に好きでした。
戦地に赴いた夫と、家に残る妻の往還書簡からなる物語なのですが、生死の境目が曖昧になっていくストーリーが美しかったです。
『短歌ください』穂村弘
この本は短歌がまとめられた歌集です。
『ダ・ヴィンチ』という雑誌の読者投稿企画を一冊にまとめた本で短歌の横に著者の一言が添えられているのも良かったです。
印象に残った短歌をいくつか紹介しようと思います。
(個人の感想は野暮なので控えます)
人が死ぬのを見たことのない僕の 死のうただけがぽっかり浮かぶ
とりあえずサイゼとりあえずマックとりあえず君とりあえず舌
リクルートスーツでゆれる幽霊は死亡理由をはきはきしゃべる
逆上がりできた瞬間蝉だけが鳴いてた静かな夕方だった
ぎしゅぎしゅと水着を脱いで足首に紺の∞(無限)のねじれた宇宙
はなたば、がすべてA音であることがうれしいと言うあなた、もA音
少しだけ世界と分離した生で昼寝のあとにくる偏頭痛
読者投稿ということもあったからかだいぶ親しみやすかった。
世界の切り取り方ってほんと人それぞれなんだという発見の連続で面白かったです。
『一人称単数』村上春樹
この作品は、表題作を含む8つの短編からなる短編集でした。
題名にもあるように、どれも一人称視点から描かれていて自伝なのかフィクションなのかわからない作品ばかりでした。
8つの作品の中では『ウィズ・ザ・ビートルズ』が好みでした。
教科としての現代文を暗に批判してる部分があったり、なんかもう人生ってさっぱりわからんなという気分になるのが良かったです。
全体的に村上春樹という感じが出ていましたが、私としては短編より長編が好みかなと思いました。
いくつもの本の感想を書くというのはなかなか大変でした。時間もかかりました、、
思いの外忘れてしまうものですね、読むたびに書き留めておいた方が良かったのかもしれません。
いまのところ年間100冊も見えているのでこのペースを続けたいものですね。
義務になってしまうのもよくないですが、一つの大台ですからね、
長いのに最後まで読んでいただきありがとうございました😊