独書は毒っしょ

読書の記録

独書日記17〜『ハプスブルク帝国』岩崎周一〜

こんばんは!うどくです。

睡眠が生物に必要なのってなんでなんでしょうか。人として暮らす上で疎ましいだけでなく、動物として生存する中で圧倒的に弱い部分だと思うのですが、

 

今回読んだ本は前語りとは一切関係ないのですが、

岩崎周一ハプスブルク帝国です。

ハプスブルク家といえば世界史に触れた方であれば誰もが聞いたことのある名前だと思うのですが、そうでないとやはり知らないのでしょうか。

扱う本の特性上、高校範囲の世界史の知識が前提となってしまう部分はご了承いただきたいです。

 

ここからは感想パートです。

 

 

今回読んだ本は、ハプスブルク家の約1000年の歴史を概観するといった内容になっています。

ハプスブルク家というのはスイスの弱小城主だったのですが、神聖ローマ帝国の皇帝を世襲するほどの強大な一族となり、帝国が崩壊した後も君主としてWW I 後までオーストリアを統治していました。

本書の中ではハプスブルク君主国という呼称が使われていますが、それはハプスブルク家の統治する範囲が流動的であり複合的な国家をなしていたことを意味しています。

(一つの国の名前に特定の一族の名がつくとは他にもないことですごいことですよね。)

 

以下では印象に残っていた内容を紹介したいと思います。

まずはなんと言っても、ハプスブルク家神聖ローマ帝国の皇帝の座につく最初の勢力争いにおいて、ホーエンツォレルン家が一役買っていたという点です。

ホーエンツォレルン家というのはのちのプロイセン帝国を世襲していくこととなる一族なのですが、プロイセンのフリードリヒはハプスブルク家のマリア=テレジアとバチバチに争うんですね。(こっちは高校の世界史でも扱う内容ですね)

そんな両家の関係がここまで遡るとは、アニメの巧みな伏線のようでたまりませんでした。

 

ウェストファリア条約の解釈についての解釈も面白かったです。

高校世界史においてはウェストファリア条約神聖ローマ帝国の死亡診断書とみなされるのですが、実は連邦的に法と平和を維持する共同体として後100年間機能していたり、貴族と君主が相互に必要としあいながら政治が行われていたというのは初めて知りました。

 

他にも細かい部分を取り上げるとキリがないのですが、

太陽の沈まない国の王であるフェリペ2世が世界中の植民地から送られてくる書類の山に忙殺されていたこと、

マリア=テレジアが臣民の心を掴もうと黄色を建築物の装飾に多用し、それがマリア・テレジア・イエローと呼ばれたことのは〇〇グリーンを想起して面白かったです。

 

こんな感じで知らないことばかりでとても面白い一冊でした。

海により他国と隔絶され民族も単一である日本では中々考えることのない、様々な民族が複合していたり、流動的であったりする国家像を知れて、それが一つの一族に統治されていた珍しいモデルの面白さも相まったいい一冊と思います。

 

今回の感想はこんな感じです。

歴史を学んで新発見をする楽しさを再発見することのでき中々よかったです。

その一方でどこかで聞いたような言葉ですが、

古代史と向き合ったとき、歴史を語ることができない理由は典拠が足りないところにある。

現代史と向き合うとき、歴史を語ることができない理由は典拠が多すぎるところにある。

古代の世界については情報が足りない。

現代の世界については情報の不足が足りない。

古代の世界では陽が上ることは絶対にない。

現代の世界では今日も早々と日が暮れたようにいつも決まって夕日が落ちる。

そして私は満ち足りた一日を送ることが絶対にできない。

 こういう言葉を見ると歴史というものは、「箱の中身はなんだろな」みたいな感じでその一部の輪郭しか掴めないものなのかなとも思いますね。

(歴史とは、、って感じになりますね)

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました😊最後は一言一人暮らし日記です。

 

一言一人暮らし日記:苦労が重なり目の下クマがひどくて目が見えない、まるでカラスのよう